コーレイ部長  ジョージ・コーレイ             

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コーレイ――時折、愛情込めて、本人には聞こえないところで、「オヤジ」と呼ばれている。――は、数年の間、MI5で最も不人気だった、そして結果的には最も尊敬された、責任者であった。
MI5に入ってすぐ、コーレイは、MI5の思想が絶望的なほど時代遅れである事に気付いた。
コーレイは「顔の広さ」を「特殊技能」に取り替えなくてはならない事に気付き、その仕事にとりかかった。やる気のないクズ連中を外し、その後任には、タフでハードな人間をあてた。
最初、コーレイのスコットランド訛りは明らかに短所と思われたが、まもなく、その率直な話し方と相まって、人の背筋をしゃっきりさせる効果を持つようになった。
仕事の腕前に関しては、数多いライバル達でさえ、嫉妬混じりでこう認めている。
「個人的には好かないが、命懸けの任務に行かなきゃならんのなら、あいつに計画を立てて欲しいもんだ」
                                      初期設定資料より

                                     出展:「THE COMPLETE PROFESSIONALS




思わず、設定資料に逃げてしまいました。
コーレイ部長って、怖い…。でも、これほど部下を大事にしてる、上司もいないだろう。
どんな事になっても、絶対部下を見捨てる事はない。
『作戦暗号名スージー、その女を保護せよ』では、部長の命令に従い、すべてに背いてダイアナをかくまってたボーディとドイルを救うため、最後まで奔走した。掛け合った相手に、「もう、あの二人は切り捨てろ」と言われても、諦めなかった。(もちろん、最後は勝ったけど、後味が悪かった)
もっとも、部長の事だから、「お前らには金がかかっとるんだ!」で、おしまいだろうけど。
「CI☆5部員一人の養成にはね、時間、経費、設備の点で、時間的にはパイロット一人の養成の4倍、金では2倍かかってるんだ!CI☆5では全国の警察、軍隊から選べるのに、現在の欠員すら補充できないのが現状なんですよ!」

「俺はコンピューターじゃない!読んだ報告書全部覚えてるわけにいくか!」などと怒鳴るわりに、某事件で情報部から取調べを受けた際、昔の事を細部にわたって覚えていて、相手の話を訂正までしてたので、記憶力はすごい筈。

部下の前で、本人を褒める事は滅多にないけど、自慢はする。
「ボーディなら負ける事はあるまい。わしの仕込だからな」  etcetc
つまりは素直じゃない。ま、部長が素直だと帰って怖いが…。

部長をかばって、部下が撃たれてしまう。部下は軽症だったが、その際、突き飛ばされた部長も手を痛めてしまう。で、大丈夫ですか?と駆けつけた他の部下に聞かれ、
「何とかな。突き飛ばされた時手首をくじいたが、それぐらいは我慢せんとな」

ま、要するに、CI☆5の一癖もふた癖もある部員をまとめ上げてるボスは、並じゃないと。
口の悪さも、その性格の曲がり具合も…。


「メイザー女史の仰りたい事は充分うかがいました。しかし感情的な理論で冷厳なる事実の裏づけがない。という事は非現実的。さよう、事実は冷厳であり、それが事実です。そこに悲劇がある。
女史は私がCI☆5を作ったと言われて私を非難された。だが、私ではない。あなた方、この社会が作ったんです。
もし火事がなければ消防夫は必要ない。私は神に誓って、私の仕事、私の組織が無用の長物たる事を祈っている。あなた方が街を安全にしてくれればと思う。人種、肌の色を問わず、あらゆる住民が安心して暮らせる街にしてくださればと思っている。
だが現実は違う、まだ今は。したがってあなたは、我々を、CI☆5の組織を必要としてるんだ。だから私はお願いしている。この組織を破壊する事無く、残していただきたい。これに代わるよい組織が出来るまでで結構。
メイザー女史はジャングルという言葉を使われる。さよう、これは無法地帯を表現する時、使われる言葉です。狂暴な獣が這いまわり、我々はそれを狩り立てる。
これも指摘されましたね、私がクーガンを狙っていたと、そのとおりです。クーガンのような獣がジャングルにいる限り、私はハントします。
写真を見ましたね。カーペットは引き剥がされ、家具はばらばら。しかしこれはどうです。
御覧なさい。まだ成年にも達しないのに老い込んだ顔。麻薬中毒で体はぼろぼろになっている。ほんの14,5歳の少女達が薬を買うため、自分の体を売っているんです。このような子供達から金を取っているのは、誰だと思います。
善良な一般市民が、暴力団の横暴を警察に通報すれば、袋叩きにされる。これが我々の街なんだ。暗く暴力に満ちた街です。そこには希望も人間性もない。
我々はそこを歩き、掃き清める。それもたいした仕事は出来ない、ほんの少々だ。あなた方が少しでも安全に歩けるように。
ところが今、あなた方は我々の僅かな力さえも取り上げようとする。なぜです。傷ついた者がいるからか。死者が出たからか。
…あの事故はね、私としても…極めて遺憾でした。
あなた方は、ひとり死んだからといって外科医を責め、病院全体を閉鎖しますか。我々は外科医だ。やっかいで、血みどろな仕事だ。そう我々のメスよく切れる。病根を取り除くには手荒く、時には不細工な手術もやらなくてはならない。
病気は痛いが手術もまた痛いものです。どちらを選ぶかは…、あなた方です」



以上が、「白い粉をまき散らすボクシングの英雄」においての、部長の最終弁論です。
ドイルの審問会の筈がCI☆5の審問会になってしまったあのEp。メイザー女史の意見は、何も知らない善良な一般市民の意見を代表してるでしょう。CI☆5のような力をもつ組織は確かに脅威です。
しかし、それがなぜ必要なのか。部長の演説は圧倒的でさえありました。