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#51 「作戦暗号名スージー その女を保護せよ; Operation Susie」
脚 本 Ranald Graham
監 督 Ian Sharp
あらすじ  ロンドンのとある学生寮で、三人の学生(フィリップ、ルディガー、ダイアナ)が、ブローカーとおぼしき男と、コカインの取引をしようとしていた。しかし、取引は成立せず、男はそのままコカインを持ち去ろうとした。その為、ルディガーと、現れた男の仲間達とで銃撃戦となってしまい、フィリップと、たまたま行き会わせた女学生のパメラが撃たれてしまう。
 CI5が急行した時、現場には、パメラの死体と、袋に残ったコカイン、そしてパメラのものではない血痕が残されていた。
 目撃者の証言から、残りの二人が撃たれたフィリップを連れて、逃走したと考えられた。
 現場は、フィリップの部屋で、彼は、政治的活動の過去を持ち、分子物理学の修士である事がわかるが、それがなぜコカイン取引に手を染めたかは謎であった。
 一方、現場を逃げ出したダイアナとルディガーだったが、フィリップの容態が悪化した為、彼を病院に運び込んでいた。しかし、そこを追っ手に見つかってしまう。彼らからコカインを奪い去ろうとした男達は、彼らを始末すべく行方を追跡していたのだ。
 二人は地下に逃げ込み追っ手を倒したが、ルディガーも撃たれてしまう。傷を負いながらも、ルディガーとダイアナは行きあわせた車をのっとり、さらに逃亡を続けた。
 病院からの急報で駆けつけたドイルとボーディーは、二人の車を見つける。さらに捜索中のフィリップの遺体と、地下で死んでいる男を発見。男はIDを所持していないが、特殊部隊が使用する、ウォーキートーキーを持っていた。
 発見した車から、ダイアナ・モルナー、ルディガー・モルナーと言う名前が浮かんだが、彼等の記録には特殊なリードアウトが存在し、詳細が調べられない。
 不審に思ったコーレイは、二人の記録を洗うと共に、ドイル達にその二人の保護を命ずる。
 クィーンズウェイから、東インバレスプレイスを捜索していたドイル達を、不審車が尾行していた。しかし、巧みな尾行にドイル達はまったく気付いていない。やがて、ダイアナ達がノーホークで、のっとった車を乗り捨てた事が、運転手の通報でわかり、ドイル達は急行する。
 その頃、ダイアナ達は近くのホテルに身を潜め、医者を呼び、ルディガーの治療を試みていた。しかし傷は重く、早急な手当が必要だった。二人は医師を解放し、さらにホテルを移って逃げ続けた。
 一方、更に調査を進めたコーレイは、もう一人、アレキサンダー・モルナーという人物にたどり着いた。彼はエスコンディア政府の派遣留学生として、陸軍士官学校を卒業した経歴があり、左派の新派として分類されていた。
 そして、ダイアナの記録のリードアウトや、これらモルナー関係の情報が、外務省の中のMI−17と言う組織から出ている事を突き止めた。MI−17の部長はノースコット。DDTの異名をとる、ダーティーな手ばかり使うことで有名な組織だった。コーレイは、ドイル達に、ダイアナ達の保護には、激しい抵抗が予想されることを告げた。
 しかし、医師からの通報では、ルディガーの容態が一刻を争う。その為、尾行や妨害を承知の上で、目撃情報のあった付近一帯を拡声器で呼びかけながら回るボーディとドイル。
 ホテルの一室に身を潜めていたダイアナの耳にもその呼びかけは届いていた。すで意識のないルディガーの身を案じるあまり、彼女は告げられた番号に電話をかけた。
 それを受けたコーレイは、ダイアナを説得。急行したドイル達は、フェブラホテルに潜んでいた二人を無事保護。救急車がまもなく到着するが、ルディガーはすでに手遅れだった。しかし、わずかな期待に掛けて、輸血を始める。
 狙撃を警戒しながら、救急車に乗り込むボーディとダイアナ。しかし、ルディガーを救急車に移そうとした時、ドイルが手にしていた輸血用のパックを狙撃されてしまった。からくも逃げ切るが、ルディガーの命はそこでついえてしまった。
 ダイアナを隠れ家に移し、取調べを開始するコーレイだったが、ダイアナは、狙撃があったことで、コーレイ達も自分の命を狙う一派と通じていると考え、全く信用しない。コカイン取引の黒幕が誰であるかも、彼女はがんとして口を割らない。
 その時、隠れ家に、外務省のノースコットがオリバレス政権外交団特別アタッシュのエドワルド・トーレス大佐を伴って現れた。
 トーレス大佐は、ダイアナに対して本日付けで出された外交特権を理由に、ダイアナの身柄引渡を求める。コーレイは、ダイアナの黒幕が彼女を保護しようとしたと考えたのが、ダイアナは予想に反して、引き渡される事に、恐怖を抱き、「殺される」と訴えた。
 ノースコット達は、このまま同行し、24時間以内の国外退去をダイアナに求めるが、ダイアナはそれを拒否。政治的亡命を求めようとしたが、トーレス大佐に、故国の知人、家族が報復を受けることをほのめかされ、やむなく同行に応じるダイアナ。
 ところが、そこでコーレイが待ったを掛けた。外交特権が、治安判事により正式に認められるまでは、ダイアナの身柄は、殺人共犯、および麻薬密売謀議の容疑で、CI☆5の管轄下にあるというのだ。安堵の表情を浮かべるダイアナ。しかし、それは単に時間稼ぎにしか過ぎない事は誰もが承知していた。
 ドイルとボーディーが彼女の身柄を預かり、ノースコット達と共に、裁判所へ外交特権の手続きに向かう。しかし裁判所の向かいの建物には、既にノースコット達が配置した狙撃手がいた。
 その手続きの間、コーレイは、ことの裏事情を、ソマーフィールドという、渉外公安部の男からききだしていた。
 ダイアナの故国は、現在軍事政権下にあり、借款も貿易もできず、経済は危機に瀕している。その中で、唯一の輸出品がコカインであった。しかしダイアナは、故国のコカイン流通を阻むために、コカイン取引の中心であるロンドンで安いコカインを製造し、流通させることで、故国がコカインを売れないようにしようと画策していた。さらに、彼女の父親は、アレキサンダー・モルナーと言い、軍事政権の高官であるという。
 ソマーフィールドの話から、ダイアナの身柄に危険が迫っていることを察知したコーレイは、ドイルとボーディーに対し、「暗号名スージー」を命じる。すなわち、ダイアナの身柄を保護し、安全な場所に連れていくこと、さらにトラブル発生時は個人として対処し、無線と身分証は放棄せよと言うものだった。二人は、コーレイの様子から、状況を認識し、ダイアナを操車場の列車に隠すことにする。
 やがて、ダイアナが裁判所から出てきた。狙いをつける狙撃手。しかし、ボーディーが煙幕を張り、彼女を連れ出すと、ドイルが車で急行し、彼女を救い出した。
 ダイアナを奪われたノースコットは、直ちに引き渡すようにコーレイに迫る。コーレイはそれを拒否したいとするが、ドイルとボーディーの行動にCI☆5が関与した証拠がでれば、CI☆5の存続そのものにかかわる。ドイルとボーディーを救う手段は既になく、心中することはないとアドバイスされる。
 窮地にいたり、コーレイは、政府大臣である、アレックスに助けを求める。アレックスは国内最大の組合を率いた実力者だが、その口から意外な真相を聞く。ダイアナの故国の左翼レジスタンスと、イギリスの首相の間に秘密の協定が存在し、近々クーデターが起こるという。その首謀者は、現政権の高官である。アレキサンダー・モルナーその人であった。
 コーレイは、この情報から、ノースコットを反逆罪による逮捕に向かう。
 しかしその間に、ノースコットの部下が、操車場に到着し、ドイル達が身を隠す車両に迫っていた。
 そんな事はまったく知らず、コーレイしか知らないはずの隠れ家で落ち着くドイル達。ダイアナは、一連のコーレイの行動と、コーレイを信頼するドイルとボーディーの様子にようやく心を開き始めていた。
 しかし、そこに急襲を受け、3人は窮地に追い込まれた。何とか時間を稼ぐために、ドイルとボーディーは必死で応戦する。
 なんとしてもダイアナを始末したいノースコットは電話で現場を急かせるが、駆けつけてきたコーレイに逮捕されてしまう。ノースコットは渋々作戦の中止を現場に伝えた。引き上げる部員達。
 しかしその時、標的は自分だけだと感情を高ぶらせたダイアナが、立ち上がってしまった。撤退命令は出ていたが、反撃を予測し、最後まで銃を構えていた部員がそのチャンスを逃さなかった。ドイル達の目の前で、銃弾を受け倒れるダイアナ。
 撃った部員への怒りをあらわするドイルをボーディが宥める。ダイアナを守ろうとしたドイル達も、殺そうとした情報部員達も、上司の命令に従ったに過ぎないのだ。そして死んだダイアナも自らの使命の為に命を落としたのだと。
解 説 一回見ただけでは、内容が把握できないほど、展開の早い話です。事件背景ならびにノースコットが反逆罪になった理由がわかるまで、苦労しました。ドイルとボーディーの活躍もさることながら、コーレイさんの底力も披露されます。当時の英国のおかれた状況と言うのも垣間見られますね。汚い外交の裏も。ただ、そうした難しい内容を理解できなくても、十分楽しめる作品です。おなじみのギャクも満載。コーレイさんが「スージー作戦」を言い渡す下りは笑えます。非常に良くできた脚本だと思います。
みどころ この話は、意味が分かるまでだいぶ何度も見ました。
  そこからもわかるように、非常に内容の濃い話です。ドイルとボーディーのアクションだけでなく、コーレイ部長の諜報活動満載の話です。政治の裏ネタ、外交の裏ネタ、盛りだくさんの話です。
 ダイアナが故国の麻薬売買を止めさせるために採ろうとした作戦は、初めて見た時、なるほどと感心したのを覚えています。
 コーレイ部長が、「作戦名をスージとする」と告げるシーン。あんまりカッコつけるんで、ドイルとボーディーが絶句するところがおかしい。
 個人的には、ダイアナの金髪と電車の車両がお茶が入るように改造してあるところが気に入ってます。私もあんなところで遊びたいもんです。