勝手に解釈

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ストーリーもキャラクターも勝手に解釈してしまいましょう。

「ミックスダブルス」

万全を期していた筈の刺客側が負けて、先手を打たれていた警備側が勝ったのは何故か。それは、ボーディとフランクが、2つの場所で顔を会わせてしまった事が原因だったんですが…。
このEpは、最初っから刺客側に主導権があった訳です。
情報はすべて刺客に筒抜け。その上、一番肝心の会場の決定権さえ、ある意味刺客側に握られていたんですから。警備側にしてみれば、安全の為の会場の変更が、実は刺客側の思惑通りなんて想像さえしてなかったでしょう。

会場を変更した部長はもちろん、前夜、会場に泊り込んで警戒していたボーディとドイルだって、その同じ屋根の下に、殺し屋二人が潜んでいる事など考えもしなかったでしょう。
そして、完全に警備の虚を突いた刺客は、暗殺を成功させ、逃亡出来た筈でした。
たとえば、あの時、2階から降りてきた男にボーディが気がついたとしても、まさかそれが潜んでいた殺し屋だとは思いもしなかったから、さしてとがめもしなかったでしょう。
さらに、傍で警備に当たっていたドイルが、もし階段上から狙いをつける銃口に気が付いたとしても、その時点でドイルに出来た事は、身を呈してVIPを守る事だけだった筈です。つまり、警備側が勝つ確率は、かなり低かったと言えるでしょう。

そのボディガードと刺客の運命を変えてしまったのが、あのパブでの邂逅だった訳です。

同じパブにいても、それぞれがいた場所は壁で仕切られていて、普通なら会う筈もなかった。なのに、そこでボーディとフランクが顔を合わせてしまった。それが敵だと気付く筈もなく、二人はある意味意気投合してしまった…。

あの時、フランクは、自信満々で階段を下りてきました。自分達が屋根裏に潜んでいた事を察知してる警備側の人間はいない。たとえ、警備の人間に見咎められたとしても、堂々とした態度でいれば、殺し屋だと気付かれる筈はない。だから、階段の下を通りかかったボーディがフランクの姿に気が付いた時も、フランクはまったく動じてなかったでしょう。間抜けなボディガードはやり過ごして、事を起こした時一気に片付ければいいと。
そして、ボーディ。
いくらドイルをして、“犯罪者の気持がわかる”と言わしめたボーディでも、上から堂々と階段を降りてくる男が、刺客だとは思いもしなかったでしょう。もしかしたら、あまり知らない顔に、多少の不信感は持ったかもしれない。でも、声を出すわけにも自分から騒ぎを起こすわけにもいかないあの場では、せいぜい、近寄っていって小声で事情を聞く程度にとどまった筈。警戒はしていても、明確に敵だと認識してない分、ボーディの方が不利だった筈なんです。

ところが、ボーディとフランクは、お互いの顔を見た瞬間、それがパブで会った相手だと気が付いてしまった。
一瞬、微笑みかけたのは、見知った顔を見つけた時の、ごく自然な反応でしょう。
そして、ボーディは次の瞬間、それが、その場にいてはいけない相手だと気が付いてしまった。
それでも、ほんとなら、最初から、ボーディを敵と認識してたフランクの方が有利だった筈なんです。ただ、そこで、最初に書いたフランクの自信が仇になったのではと。だから、やり過ごせる筈のボディガードに正体を気付かれたと悟ったのが、ほんの一瞬遅れてしまった。
その一瞬が、二人の、しいては、刺客側と警備側の運命をも変えてしまった。

って書いてたら、かっこいいんですけどね〜。運命を変えた原因がねぇ(苦笑)
あのパブで、しゃがんだ女性の胸元を身を乗り出して覗き込んでしまったのが、決して交わる筈のなかった、二人の男の接点になってしまったというのは、ちょっと情けないといえば情けない…(爆)。
ジョークを言う余裕もなくしてたドイルや、ナーバスになってたジョーと違い、それだけの余裕を残していたという事が、フランクには不運に、ボーディには幸運につながったという事なんでしょうかね。
ボーディのスケベも役に立つ事がある?まあ、好奇心を持つ事は大事ですが、女の子のお尻を嬉しそうに眺めていたり、胸元を身を乗り出してまで覗き込んだ事が、後で役にたったなんてねぇ。
ドイルも部長も、素直に認めたくない事実かもしれません(爆)。もっとも、ボーディにしてみても、大っぴらに自慢できる事でもないよな〜。
芸は身を助けると言いますが、この場合、ボーディのスケベも芸のうち?(爆)
「暴かれた最新戦闘機の欠陥」                        by パタ                       
最後にプールで死んだ黒幕の大物政治家は自殺なのか、他殺なのか? 自然に考えれば、最新戦闘機の欠陥を暴こうとしたジャーナリストの暗殺指令を出した大物が、コーレイ部長につきとめられて、不名誉な結末を迎えるよりは自殺を選んだと考えるのが妥当と言えば妥当、なのだが・・・。
このEpの中で、殺し屋ニーカークに逃げられたとき、息巻くボーディにコーレイ部長が「お前はミスをしないのか?」と怒鳴り返すシーンがありました。その前に、ボーディは空き巣に入って奥さんに見つかるという、ドジを踏んだシーンがあったから、「ボーディもミスしたよなぁ」と、テレビ見ながら独り言を言ってたのだけど、見終わったあとで、一番印象に残っている台詞が、実はこれでした。この物語のキーワードは、「ミステイク」で、この台詞に物語のメッセージが集約されているんだと理解しました。

というのも、「暴かれた・・・」では、物語の進行上のエポックとなる出来事がすべて「ミステイク」で構成されているから。
空き巣に入って奥さんに見つかる。ボーディのミス(ドジ)は、うまく切り抜け、成果に転じたけれど、ミスはミス。拘留中の殺し屋ニーカークに逃げられたのは、CI5部員の経験不足から生まれたミス。そんな部員にニーカークのような海千山千の危険な殺し屋の見張りを担当させた部長のミス。偽殺し屋に化けたドイルが任務中に女の子と親しくなる。そこには、任務に関わる必然的な土壌があったのだけど、女の子が殺されてしまったのは、その後の女の子に対するドイルの対応の悪さを想像させる。(私は、ドイルは女の子の死を自分のミスだと思っていると思う。)
本当に、『えっ、どうしちゃったの? CI5・・・』って言いたくなるほど、ミスが目立つ。

物語の発端となる欠陥戦闘機は、制作体制側のミスから生まれたもの。それが暴露されそうになり、とった手段が殺し屋を雇うというミスにミスを重ねるような最低の対処。そこから、ドイルが偽殺し屋ニーカークに成りすましての黒幕さがしや、殺し屋のターゲットさがし、その一連の背景追求が始まるわけだけど、物語の設定は、国家を大手有名企業(あるいは国会議員)、最新戦闘機を欠陥商品・欠陥製品(あるいは企業や議員の不正行為)に置き換えれば、とてもわかりやすく、どこの国にも、いつの時代にも通じるよくある話ですよね。

「お前はミスをしないのか?」という部長の言葉。この” 問いかけ”の答えは、「完璧な人間なんていないのだから、人間誰だってミスは犯す。ミスを犯すから人間なんだとも言える。時には笑って許されるミスもあるし、ひょうたんからコマ(この使い方でよかったっけ?)【この場合は、怪我の功名とか、災い転じて福となす?】の場合もあれば、痛恨の痛みが本人の成長を促すという将来につながるミスもある。ミスが生まれる必然度合い、ミスそのものの深刻度合い、その後の影響力の差は様々。しかし、絶対に避けなければならないミス、間違ってもやってはならないミスがある。それが、物語の素材となっている欠陥戦闘機、そして、それを不正に隠そうとする行為に代表されるような、組織や個人の身勝手な都合や欲望、メンツに起因するミス」、つてことなのだろうと思います。

だから、冒頭の疑問に戻ったとき、引責という意味で、大物政治家を「死をもって制する」という手段で締めたこと、さらに自殺というのが物語の「落ち」としては妥当なのでしょう。

でもね 。私は、それ(自殺)には、今一つ納得できないんです。
その結末は、今でいうと、倫理的にとんでもなく許されないような社会的大問題をおこした企業の取締役が、それは会社のためにやったのだと言い張り、辞めたくはないけど、どうせ辞めなきゃならないんなら、解雇される前に、退職金もらって辞めようと、「退任」するようなものじゃないか、と思えてしまう。
プライドのない人間が最後の拠り所としてお金に執着するなら、お金を持っているあの大物政治家が執着するのがプライド。世間を巻き込み、大勢の人たちに多大な迷惑をかけた上、最低の手段でそれをひた隠そうとする輩の責任の取り方・取らせ方(表舞台からの去り方・去らせ方)として、退職金付きの辞任には納得がいかないように、あの何の反省の色もなく、潔さの微塵も感じられない大物に、自分で死を選ばせる(=プライドを守るという手段を与える)という結末は、感情的に同調できない。
コーレー部長が、大物の死に対し、白々しく、「惜しい人を亡くしました」的なことを言っていたから、自殺にしても、他殺(コーレー部長が手を下した)にしても、対外的にはきっとあの大物のプライドは守られるのだろうけれど、だとすれば、後者の方が、まだ見ていて溜飲が下がるような気がするんです。
●後書き(言い訳・余談の類)
「お前はミスをしないのか!?」というコーレー部長の台詞当たりから、紙面をにぎわす政治家や企業の不正問題に置き換えて見てしまいました。だから、最後の結末に、「冗談じゃないわよ。手ぬるーい!」と思ったのかもしれません。
プールに浮いていた大物政治家の死は、自殺にしては死に方が不自然。コーレーさんが手を下したような死に方でもない。そこで、大物の右腕(ニーカークに連絡とっていた奴)が、彼に責任おっかぶせて殺しちゃったのかなぁ(十分ありえると思うけど、メッセージの結末からすると、ちょっとズレるな)、それとも本当に心臓マヒかなんかで苦しんでいるうちにプールに落っこちたんだとしたら「天誅」だなぁ、と思ったり。挙げ句、政治家の死因が不透明なのは、制作サイドに迷いがあったのかしらん、などと考えたり。
自殺以外の線をとりたいのですが、私の中でも結論が定まりません。ビデオにもとっていなくて、一度しか見てないので、見落としている部分があるのかもしれないけれど、今もって、死因の不透明さにストレスがたまるEpです。
ところで、欠陥戦闘機の欠陥を暴こうとしたジャーナリストの「暴露記事問題」に関しては、あまり関心はないのだけれど、ちょこっと興味を持ったのが、ジャーナリストとコーレー部長の会話。全部は覚えてないけれど、コーレー部長の話し振りから、部長は「暴露記事」を許容していない。それは、物語の中でジャーナリストが命を狙われたように、危険な領域に入り込むことへの警鐘もあるけれど、「暴露記事」という手法そのものを容認していないし、記事の内容そのものは、やっぱりイギリスにとっては打撃的なスキャンダルには違いないはず。そうすると、CI5に、「暴露記事を防止せよ」という任務が舞い込むことだってあり得る話で、そうなると、コーレー部長はどのような作戦を取ったのだろう?  もちろんコーレーさんのことだから、そんな戦闘機をつくったバカ者どもに対してはきっちり筋を通したオトシマエをつけさせた上で作戦を遂行するのだろうけれど。


ドイルがボーディに冷たい。「男の正義」においてのドイルの態度に対して、よく聞く話です。でも、ドイルにだっていい分はある。一応、あのEpのドイルの気持ちを私なりに解釈してみました。 
 ボーディのスランプに真っ先に気付いたのは、恐らくほかならぬドイルだと思うんです。いきなりどーんと落ちこんだのか、最初は小さな兆しだったのか、ボーディの様子がいつもと違うって事をチームを組んでるドイルが気付かないはずありません。
 だからドイルは、ボーディのスランプをまわりに気付かれて、やれ「年のせい」だの、訓練がきついだの好き勝手言われないうちに、手を打とうとしたと思うんです。
 だって、相棒がそんな風に言われてしまうのは、ドイルにとっても悔しいと思うんです。
 最初は、ボーディの不調を隠そうとしたのかもしれない。でも、隠しきれるはずがない。でも、悲しいかな、そのボーディからスランプの原因をうまく聞き出せるほど、ドイルは器用ではなかった。
 それでも、なんとかして原因を探ろうとしたのかもしれません。でも、あのボーディが、そう簡単に心の中までのぞかせるはずがありません。頑なに拒みとおしたと言うより、うまく話をそらして、絶対その話題に触れようとしなかったんではないかと。
 喜怒哀楽が結構はっきりしてるボーディですが、一旦感情を押さえこんでしまえば、不器用なドイルにそれを察するなんて無理な話です。
 やがて、ボーディの不調は、一時的なスランプではすまされなくなり、いろんな検査をされた挙句、部長にまでわかってしまいます。
 部長に探りを入れられても、ドイルにもわからないものを答えようがありません。
「お前、何か隠しとるな」って部長に指摘されたドイルですが、おそらく、ボーディの不調に早くから気付いていた事、そして、それをどうにかしようとして失敗した事を隠してたのかもしれません。
 あの時のドイルの心情を勝手に代弁させてもらえば、「オヤジにまでわかっちまったじゃねーか!あのばか!もうしらねーぞ!」ってなもんでしょうか。
 
 そして、ドイルが任務に連れて行く仲間にボーディを選ばなかったのは、足手まといだと思ったせいと言うより、ボーディを死なせたくないから。今のボーディなら、自分で自分の身を守る事すら危うい、となれば真っ先に命を落としてしまうから。立場が変われば、ボーディなら、ドイルのひとりぐらい、俺がフォローするって言いきるかもしれませんが、ドイルには言いきる自信はなかったでしょう。
 ボーディがやばくなっても、助ける事も出来ず、死なせてしまうのはドイルにとっては一番避けたいことだったのではないかと。
 
 ボーディ自身、この頃は迷ってたんだと思うんです。復讐するのか、警察に引き渡すのか…。GFの説得も試みた事でしょう。でも、おどおどした証言では公判の維持さえ難しい。ドイルが心配してくれてるのはわかっていても、自分でもどうしようもなかった、って言うあたりが本音なんじゃないかと。
 
 そしてボーディの迷いが吹っ切れた時、事は一気に進んでしまった。
 スランプが嘘のように完全復活したボーディを、かえって危ういと判断したのは心理学の先生だけです。部長でさえその指摘がなければ復活を疑わなかったでしょう。
 で、ここで面白くないのがドイルです。あれだけ心配したのに、嘘のように自力で立ち直った挙句のあの明るさです。このぼけ〜〜〜〜って拳握り締めても誰にも怒れません。心配する事なかったな、って安堵の気持ちもあったでしょうが、心配させやがってこのやろう!って怒りの気持ちもあったはず。
 ところが、復活したはずのボーディから、部長はまだ目を離すなとおっしゃる。
 GFまで連れてしぶしぶ付いて行けば、ドイル自身もボーディのトラブルに巻き込まれてしまい、危険な目に会ってしまった。巻き込むなとは言わない。でも、まきこむならその事情を話せって言いたかったでしょう。
 ドイルがもう少し冷静なら、ボーディが暴走族に喧嘩を売るなんてやばい事をするわけがないって、その行動の異常さを感じ取ったんでしょうが、いかんせん、まきこまれたドイルはすでにカッカきていた…。
 どうせ、些細な事で暴走族連中と喧嘩したんだろう。って自分自身に思いこませて、
「自分のトラブルは自分でなんとかしな」って突き放したのではないかと。
 つまり、ボーディの気持ちや行動がまったくわからなくて、かと言って、理由を聞き出す事も出来なくて、ボーディも話してくれないし、「えーい!もう、勝手にしろ!」って拗ねて怒ってたんですよ、ドイルは…。
 
 もう付き合ってられねーやって、見捨ててきたらば、ボーディの異常な行動にはものすごく深刻な理由があった。それを聞いた時のドイルってば一気に顔色が変わりましたもん。GFもおっぽり出して、バイクで駆けつける時のドイルの気持ちって、複雑だったでしょうね〜。
 「あのばか!なんでいわねーんだ!」とか、「早まるなよ!」とか、「まさか反対にやられてねーよな?」とか、怒りと心配とが入り混じって、とても一言では言い表せるものではなかったでしょう。
 
 なのに、ボーディってば止めに入った(というか助けに来たと言うかの)ドイルをぶっとばして、喧嘩おっぱじめてしまうんですもん。ドイルに殴り倒されても文句は言えませんぜ。
 暴走猪ボーディはドイルには止められない。雑魚を片付けながら、部長が来てる事を知ってたドイルはボーディを止めるっていう、一番大変な事を部長に押し付けてしまったわけです。
 撃たれはしないって思ってはいても、こめかみに銃を付きつけられたらいい気はしない。思わず確認してしまったボーディの気持ち、よーくわかってしまいました(爆)。

 さて、あの後穏やかに話していた二人ではありますが、あのまま済んだでしょうか。
ドイルの事だから、「一発殴らせろ」なんて言ったのかも。だって、心配させたんですから。
 
 ボーディはたとえばドイルが悩んでいたとき、怒らせたり、宥めたりして、その悩みをうまく吐き出させてしまえる人なんですね。でも、ドイルにはその器用さがない。ボーディがもう少し素直に自分の感情をあらわす奴なら扱いやすかったでしょうが、喜と楽は素直に出すボーディでも、哀は滅多に見せない。
 さらに、ボーディって割と相手の気持ちを読める人だと思うんです。自分が色々な苦労をしてるせいもあって、僅かな気配や顔色、雰囲気で察する事が出来るのではないかと。でも、ドイルにそれが出来るのかというと…。そりゃ、刑事ですから、犯人の顔色から色々読むって事は出来るでしょうか…。

 それから、クールな理想主義者って思われてるドイルですが、実はその内面はボーディをもしのぐ激情家ではないかと。いったんマジで怒らせたら、おそらくボーディより怖いでしょうね〜。
 ま、その話はまた別のところで。